kicchom’s blog(ほぼ彩風咲奈さん用)

宝塚歌劇の観劇記録と、彩風咲奈さんのことなど

さきちゃんが二番手羽根を背負った――雪組「SUPER VOYAGER!」

 ムラで初日が開いてから毎日TLで詳細なレポートを読み漁り、リピーターの方々ならではの深い洞察やら観察やらに唸りながら、東京でのいわゆるMy初日を迎えました。お正月に放映されたテレビ中継(録画)も観てから行きました。結論から言うと観といてよかった。叫んだり泣いたりできたので。

 

2回目の観劇が、図らずも件の「体調不良のため無念のイベント欠席」の翌日だったため、前日から睡眠不足で居ても立っても居られず、さきちゃんが劇場入りしたという情報を確かめるまでは、本当に生きた心地がしませんでした。無理を押しての公演だったのでしょう、何度もテレビで見たムラの映像と比べると抑えた振りもありました。それでもよかった。素晴らしいパフォーマンスだった。舞台を第一にメンテナンスを選んでくれた英断に頭が下がりました。

 

見どころは何を置いても、海の見える街。5分間踊りっぱなしのシーンがあると聞いてはいましたが、予想していたものの遥か上を行く格好良さでした。さきちゃんが0番でのびのびと踊ってるのを観るだけでもうほんと生きててよかった……って思いました。大げさでなく。

よくあるカラフルなシーンで着せられる色違いのスーツの中では、最も罰ゲーム感が強い気がする黄色のお衣装があんなに眩しく見えたことはありません。

終盤、転調してからさらに激しくなる振りに涙が溢れます。三井先生の振り付けは、ぜひまたどこかの組でも観せていただきたい!

 
それにしてもさきちゃん、膝を曲げたり腰を落としたりした時の脚の余り方、あれはどうなってるんですかね。不思議。最高。あと太腿がいい。


パレードは、視界に水色の総スパン(脚)が目に入った瞬間「これか!これが二番手というものか!」と言っちゃった。実際に。テレビの前で。白い大羽根似合いすぎ。語彙尽きすぎ。個人的な実感としては、羽根はもちろんだけど総スパンのお衣装の衝撃が強かったという感じです。

 

作品全体については、野口先生に言いたいことはたくさんありつつも、素敵な場面をさきちゃんに宛ててくれてありがとう本当にありがとうという気持ちです。そして、どなたの演出になるのかわかりませんが、二番手としての黒燕尾を見せてくださいませ、と思っています。

何度でも観られる――雪組「ひかりふる路」

劇場で2回と、千秋楽のLVを観ました。

まだロスです。

前にツイートしたものに加筆修正しました。

 

タカラヅカでは既視感ありすぎるフランス革命ものの中でもかなり硬派だし、大劇場作品としてのスターシステム縛りはあるものの、よくぞここまで描き切ったと感動しました。生田先生渾身の作品。もし二幕物だったらおそらく群像劇になりえただろうと思うし、もしそうであったなら、あーさサン=ジュストやひとこル・バの最期や、カミーユ夫妻、ダントン夫妻の物語も観てみたかった。贅沢なリクエストだとは思うけど。

 

なにしろトップコンビの芝居、トップと二番手の芝居に厚みがある。だいもんこと望海風斗さんは、良い意味で重くてしっとり色気のある芝居に、滑らかに歌を乗せることができる人。今回は苦悩する姿、理想を追い求めてズタボロになる姿をこれでもかと見せてくれる、異例だけど最高のトップお披露目だったと思いました。

 

真彩希帆ちゃん、観劇した日は喉を労ってた日だったのにも関わらず、きいちゃんの歌の上手さと芝居心はだいもんと拮抗してて唸りました。全曲通して音域の広さを感じさせないところに凄みを感じます。


そして彩風咲奈さん。さきちゃんには、スチールやテレビ画面越しでは伝わらない迫力がある。二番手に昇格してすぐトップさんの添え物ではないタイプの当たり役が来た感があるし、ここんとこ役の幅も広がってることは間違いなさそう。だいもんとのがっつり芝居で、ぐんぐん演技が変わっていったのがわかりました。

千秋楽のダントン邸から処刑シーンまでは、忘れられない名場面のひとつ。まだ言葉にできないほど、思い出す度に心が震えます。そんな演技のできるだいさきは、オフとのギャップもたまらないですよね。余談ですが。

最初はダントンの声の大きさ、器の大きさを意識していたようにも見えたさきちゃんが、どんどん役を自分のものにしていく過程に出会えて本当によかった。あまりにもほれぼれしすぎて、なかなか観劇後の言葉が出てきませんでした。

ここまでの話ーー彩風咲奈さんに至るまで

初めて宝塚を観たのが2002年。もうすっかりいい大人だったので、最初はB席から様式美を面白がっていた程度のファンとも言えない観客だった。ところが仕事の絡みで東宝のゲネを前方席で観せてもらったことがきっかけで、あっという間に転げ落ちた。

落ちた先は当時の花組トップに就任して間もなかった春野寿美礼さん。そこから約5年間、退団の千秋楽にムラ、東宝ともに劇場でお見送りするまでどっぷり応援させてもらった。これ以上燃えカスが残っていないところまでやり切って「もうしばらくはない」と思っていたところで、うっかり宙組の研7だった早霧せいなさんにやられる。いつも真ん中にいない、ライトが当たっていない生徒さんを観る楽しさも手伝って、また超高速でハマった。でも、雪組への組替えと同時期に、自分自身にも環境の変化があって自然と劇場そのものから遠ざかることに。不思議とあまり後ろ髪ひかれず、しばらく観ない期間ができた。

下級生時代から周りの友人たちの間で常に話題だった明日海りおさんが馴染みの花組でトップになったり、柚香光さんに心奪われたり、その花組からやはり下級生時代にずいぶんよく観た貧ちゃんこと望海風斗さん(仕事で「くらわんか」を何度観たことか)が雪組に異動したり、ちぎちゃんが雪組でトップになったり……そんなタイミングでまた定期的に劇場に出かけるようになって数年、とうとうその時がやってきてしまった。

 

雪組のショー「GREATEST HITS!」の黒燕尾(変わり燕尾)。トップさん中心の男役の群舞から、デュエダンのためにちぎちゃんだけがハケたように見えたので「あ、ここからは二番手のだいもんセンターのターンね」と思ってよく見たら、だいもんじゃない。オペラをメガネに押し付けながら「えっ? えっ? 彩風さん?」って声に出して言っちゃったよね。隣の友人は月城かなとさんに忙しくて聞こえちゃいなかったらしいけど、とにかくセンターでオラオラしてたのは紛れもなくあの彩風咲奈さんだった。音校時代に生徒募集のポスター、研1で阪急の初詣ポスターに抜擢された首席入団の可愛らしい男役の子ってイメージがいつまでも頭から抜けていなくて、このショーでも燕尾までにあれだけの見せ場があったというのに、最後の最後になってこれまでのイメージを見事にひっくり返されてしまった。あの常人を超えたスタイルと男役らしさはなんなんだ、どうやっても頭が追いつかない。これか、これなのか、次の波がついに来たのか。終演後に友人と話すときも愛称すらはっきりわからず、とりあえず混乱している旨を伝えて「これは来てしまったかもしれない」と直感した。

 

その後、だいもんのトップお披露目「ひかりふる路」のダントン役で確信するわけだが、その前にお正月のNHK BSで放送されたショー「SUPER VOYGER!」では海の見える街の素晴らしさにうっかり泣き崩れてしまい、マタドールで頭がパーンして、パレードで水色の総スパンの足元が見えた瞬間、真っ白な二番手羽根を背負った姿にまたむせび泣いてしまった。ああ、これは本格的なアレだと気付いて今に至ります。

 

そんな経緯で、いまは咲ちゃんです。